博物館におけるインバウンド集客|効果的な施策を詳しく解説

博物館におけるインバウンド集客|効果的な施策を詳しく解説

新型コロナウイルス感染症対策による入国制限が緩和され、訪日外国人の数は増加傾向にあります。こうした状況下で、博物館は、従来の社会教育施設としての機能に加えて、インバウンド観光客の受け入れを含む観光施設としての役割も求められています。インバウンド集客を効果的に行うことで、博物館は日本文化の振興や地域活性化に寄与することが可能です。

本記事では、インバウンド市場の拡大による博物館への影響やインバウンド観光客の特徴を明らかにします。その上で、博物館のインバウンド集客に効果的な施策や博物館向けの予約システムを紹介します。

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インバウンド市場の拡大による博物館への影響

ここでは、インバウンド市場の拡大による博物館への影響について解説します。

拡大を続けるインバウンド市場

新型コロナウイルス感染症の拡大により大幅に縮小した日本のインバウンド市場は、2023年4月の水際対策の終了を受けて急速に回復しました。日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2023年12月の訪日外国人数は、2019年12月の252万6,387人の108.2%に相当する、273万4,000人を記録しています。この数値は、新型コロナウイルス感染症拡大後の単月過去最多の記録であり、12月の歴代最高数値も更新しました。

画像引用元:株式会社 JTB総合研究所「インバウンド 訪日外国人動向」

インバウンド市場の急速な拡大には、水際対策の緩和のみならず、多くの要因が背景にあります。例えば、円安や外国人からの日本人気の上昇などです。そのため、訪日外国人数は、今後も増加し続けることが予想されます。

移り変わる博物館の役割

近年のインバウンド観光客の増加により、博物館に求められる役割が変化しています。

2022年度には、「文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律」が公布されました。文化庁はこの法律の目的を「文化の振興を、観光の振興と地域の活性化につなげ、これによる経済効果が文化の振興に再投資される好循環を創出すること」と示しています。

こうした背景から、現在の博物館は、従来の社会教育施設としての機能に加えて、インバウンド観光客の受け入れを含む観光施設としての役割を果たすことが期待されています。

インバウンド観光客の特徴

集客を成功させるためには、ターゲットとなる顧客について理解することが重要です。

インバウンド観光客の統計

日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2022年における訪日外客数は、韓国が101万2,751人と最も多く、台湾の33万1,057人、中国の26万9,285人と続いており、アジア地域が全体の半数以上を占めています。

画像引用元:株式会社 JTB総合研究所「インバウンド 訪日外国人動向」

また、官公庁の「訪日外国人の消費動向」では、2020年度における訪日外国人の性別の構成比は「男性」が 55.4%、「女性」が 44.6%であり、年代別の構成比は20 代以下(38.4%)や、「30 代」(29.2%)が多いことが分かります。

インバウンド観光客が抱える悩み

インバウンド観光客が来日時に抱える悩みを理解することで、有効な集客施策の策定につなげられます。観光庁は、2019年に外国人旅行者に対するアンケートを実施しており、その結果は下記の通りでした。

コミュニケーションが取れない

インバウンド観光客が直面する大きな悩みの1つが、コミュニケーションの問題です。

日本語は、日本独自の公用言語であるため、外国人観光客が理解できない場合が多いです。そのため、博物館などの観光施設は、言語の壁に向けた対策が求められます。例えば、外国語に対応した案内板の設置や、多言語対応のスタッフの配置、オーディオガイドの多言語化などが挙げられます。

キャッシュレス決済普及の遅れ

日本国内における決済の不便さも、訪日外国人客の抱える大きな悩みです。

経済産業省の「キャッシュレス更なる普及促進に向けた方向性」では、世界各国のキャッシュレス比率を比較できます。同資料によると、2022年度におけるキャッシュレス決済比率が最も高い国は韓国で93.6%、中国の83.0%、オーストラリアの67.7%に及ぶのに大して、日本は32.5%にとどまっています。

このように、日本におけるキャッスレス決済の普及率は、他国に比べて未だに低水準です。博物館を含めた観光施設は、キャッシュレスのさらなる普及が求められます。

Wi-Fi環境が整っていない

日本のWi-Fi環境に不便さを感じる訪日外国人客は、上記のアンケート結果から読み取れます。博物館が自館でWi-Fiを提供することで、訪日外国人客の来館を促進できます。

一方でWi-Fi導入にはコストがかかる上に、長時間滞在する顧客がWi-Fi目的で訪れる可能性もあるため、そうした課題に対する検討が必要です。

博物館のインバウンド集客に効果的な施策

ここでは、博物館におけるインバウンド集客に効果的な施策を解説します。

多言語対応

インバウンド需要に対応するために、博物館は多言語対応の展示案内の導入が必須です。導入言語は、英語のみならず、中国語や韓国語など、訪日外客数の多いアジア地域の言語対応も求められます。

効果的な案内板の翻訳には、単に文字を変換するだけではなく、文化的な背景も考慮することが大切です。特定の表現がその言語圏の人々に適切に伝わるように配慮することで、展示物の魅力をスムーズに伝達できます。

案内板の翻訳

文化財の案内板の多言語翻訳について、官公庁は「文化財の多言語解説案内板の制作指針」として指針を公表しています。この指針は、書体(フォント)や行間スペース等のレイアウトを、外国人の視点でも読みやいように編集する方法について解説しています。

オーディオガイドの多言語化

オーディオガイドを多言語化することで、視覚情報のみならず聴覚からの情報提供も充実します。オーディオガイドは、展示物の詳細な背景や歴史を観光客に詳しく伝える上で非常に有効となります。また、目が不自由な人でも展示物を楽しむことができるようになり、バリアフリーにも効果的です。

イベントと体験プログラムの開催

イベントや体験プログラムは、博物館をより身近で楽しい場所として、インバウンド観光客に訴求できる優れた方法です。

国際的なイベントの開催

博物館で開催する国際的なイベントは、異文化交流の場として注目を集めます。例えば、外国の祝日に関連したイベントや、国際的な芸術家による展示会などが挙げられます。これらのイベントは、来日外国人の興味を引き付けることが可能です。また、異文化を尊重する博物館の姿勢もアピールできます。

ローカル文化を活用したプログラム

地域の文化や歴史に焦点を当てたイベントや体験プログラムは、来館者にとって特別な魅力を持ちます。地域の歴史や文化に焦点を当てた特別展示や伝統工芸品の作り方を学ぶワークショップなどを実施することで、日本の文化への理解を深める機会を提供可能です。これらのプログラムを通じて、博物館は地域社会とのつながりを強化でき、地域の魅力を世界に伝えられます。

Webサイトの最適化

各博物館が運営するWebサイトを最適化することで、インバウンド観光客にとって有用な情報提供につなげられます。

SEO対策

SEO(検索エンジン最適化)対策はWebサイトにおける集客の鍵です。Googleをはじめとした検索エンジンのランキングで自身の博物館が上位表示されることで、検索結果からの流入や来館者数、リード獲得数の向上に効果的です。SEO対策では、ターゲットとなるインバウンド観光客が検索すると思われるキーワードを適切に織り交ぜながら、博物館の魅力的で有益な情報を提供することが求められます。

モバイルファースト

インバウンド観光客の多くは、情報収集にスマートフォンを利用しているため、WEBサイトのモバイルファーストへのアプローチは欠かせません。モバイルデバイスに最適化されたウェブサイトは、訪日外国人の利便性を高め、博物館の魅力をより効果的に伝えられます。

SNSマーケティング

SNSマーケティングは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使って顧客を獲得するマーケティング手法です。X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、YouTubeなどのSNSを通じてインバウンド観光客とコミュニケーションを行い、博物館の認知拡大やファンの獲得、ブランディングなどを行います。

インフルエンサーの活用

SNSは、インバウンド観光客にとって重要な情報源です。特定の分野で影響力を持つインフルエンサーを活用し、博物館の魅力を紹介することで、観光客の来館意欲を高めることが可能です。世界的なインフルエンサーとのコラボレーションを通じて、博物館の展示やイベント情報を多角的に紹介することができます。

ビジュアルコンテンツへの注力

ビジュアルコンテンツは、SNSマーケティングにおいて非常に大切です。美しい展示物の写真や、博物館の特別なイベントの様子をSNS上で共有することで、潜在的な来館者の関心を引くことができます。特にInstagramやPinterestのような画像中心のSNSは、視覚を通じて博物館の魅力を直感的に伝えることができる優れたプラットフォームです。

デジタル化による環境整備

インバウンド観光客の集客において、デジタル化による環境整備は非常に重要です。デジタル技術を活用して博物館の利便性を向上させることで、顧客体験を向上できます。

wifi環境の整備

上記で示した通り、日本のwifi環境に不満を抱いている外国人観光客は多いです。博物館のwifi環境を整備することで、外国人観光客が博物館を利用する際に感じる不便さを軽減できます。さらに、良好なインターネット環境により、外国人観光客は博物館での体験をSNSで共有することが促され、SNSを通じての口コミ効果が強化されます。

予役システムの導入

博物館における予約システムの導入は、外国人観光客の顧客獲得に非常に有効な施策です。予約システムの導入により、観光客は事前にオンラインで入館チケットを購入でき、特定の展示やイベントへの予約が可能になります。

また、予約システムは、顧客の情報を自動で管理するため、博物館の業務効率化にも有用です。蓄積されたデータを分析することで、マーケティングの強化にもつなげられます。

>>博物館の集客に必要なマーケティング手法とポイント

博物館向けの予約システムとは

博物館向けの予約システムは、博物館の予約や顧客の管理を自動で行うシステムです。予約受付における業務の効率化はもちろん、集客に役立つ機能を数多く搭載しています。ここでは、予約管理システムの導入メリットと、博物館の運営に役立つ予約システムの機能について解説します。

予約システムを導入するメリット

予約管理システムを導入することで、博物館の無人受付において大きな手助けとなります。以下は、そのなかでも特に効果的なメリットです。

・業務効率化
予約システムは予約受付や顧客情報を自動で管理します。人の手により紙やExcelで管理する必要がありません。書き間違いや聞き間違いなどの人為的ミスも発生しなくなり、正確で効率的な博物館の運営が実現します。

・費用削減
予約システムの自動管理機能は、費用の削減にも効果的です。予約や参加者の情報はデータ化されるため、大量の紙や管理するスタッフに費やしていた経費は低減されます。

・マーケティングの強化
予約管理システムを通じて集められる参加者のデータを分析して、ターゲット市場の動向や顧客需要を把握することができます。このデータを基に、効果的なマーケティング戦略を立案可能です。

・顧客体験の向上
予約の確認や変更をオンラインでかんたんに行えることで、参加者の利便性が向上します。また、待ち時間の短縮やスムーズな受付が実現し、顧客満足度も高められます。

博物館の運営に役立つ予約システムの機能

予約システムはさまざまな種類が存在しています。それぞれ特徴が異なるため、自身の博物館に合った予約管理システムを判別することが必要です。

オンラインカード決済機能

オンラインカード決済機能は、オンライン予約時にクレジットカードで決済できる機能です。  オンラインカード決済機能を活用することで、顧客は事前に支払いを完了できるため、予約当日にスタッフが要する業務の負担が軽減されます 。

多言語対応機能

多言語対応機能とは、予約サイト内の文言を自動か手動で翻訳できる機能です。設定可能な言語は、日本語、英語、中国語(簡体)、中国語(繁体)、韓国語、タイ語となります。予約サイトに多言語対応機能を取り入れることで、日本語力が十分でない外国人顧客向けに対応が可能です。

SNS公式アカウント機能

SNS公式アカウント機能を活用することで、予約サイト上に各種SNS公式アカウントを表示できます。リアルタイムで更新しているSNSアカウントを掲載することで、予約サイトを訪れた人へ最新の情報を伝えられます。

外国通貨設定機能

外国通貨設定機は、インバウンド観光客に向けたサービスを提供する場合に日本円以外の通貨を設定できる機能です。ターゲットとしたい外国人顧客に合わせた言語設定を予約サイト上で行うことで、集客力の向上につなげられます。

まとめ

今回は、インバウンド市場の拡大による博物館への影響やインバウンド観光客の特徴を明らかにした上で、博物館のインバウンド集客に効果的な施策と、博物館向けの予約システムについて紹介しました。予約システムを導入することで、インバウンド観光客を集客でき、博物館の観光施設としての役割を果たせます。

インバウンド観光客の集客でお悩みの人は、ぜひ本記事を参考にしてください。

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