博物館は、資料の収集、保存や展示、調査研究や教育の普及といった活動を行う施設です。日本では、実物資料を通じて人々の学習活動を支援する機関として、重要な役割を担っています。
しかし、博物館は現在さまざまな課題を抱えており、経営難が深刻化しています。過去の遺物やアートワークの維持費、スタッフの給与や新しい展示の開催など、博物館は運営上、多くの資金を要します。その上、「博物館法 第 23条」に則り、入館料等を無料としている博物館も少なくありません。
博物館の運営を存続させるためには、問題点を明らかにし、利益増加につながる対策を講じる必要があります。本記事では、博物館の問題点を明らかにし、利益を増加させる方法を、コスト削減と収益増加の両面から解説します。
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博物館の問題点と課題
まず博物館の利益増加のためには、運営上の問題点を明らかにして課題を設定する必要があります。
事業収入の少なさ
博物館の経営における大きな問題点のひとつは、事業収入の少なさです。博物館の主な収入源は入場料収入であり、その値の変動により博物館の事業収入は大きく変動します。
しかし、前述でもある通り、入場料を無料としている博物館は少なくありません。日本博物館協会が公開した「日本の博物館総合調査報告書」の「9.入館料の設定状況」によると、全国の博物館における大人ひとりの平均入場料金は434.3円であり、安価となっています。また、1年の平均入館者数も7万4608人であることから、入場料収入での大きな収入は見込めません。
入場料収入以外の事業収入を増やし経営難を脱することが、博物館がまず取り組むべき一番の課題です。
デジタル化の遅れ
デジタル化は、近年のテクノロジーの発展と社会の変化に伴い、多くの機関で推進されてきました。しかし、いくつかの博物館では、このデジタル変革の流れに乗り遅れています。いまだにアナログな方法で資料を保存し、顧客や予約情報の管理を紙で行っている博物館は珍しくありません。
文化の保存や継承、2次利用の観点から、博物館の資料をデジタルアーカイブ化することは必要不可欠です。また、顧客情報の管理や予約受付を自動化することで、業務効率も大幅に向上します。
施設や設備の老朽化
博物館における施設や設備の管理不足は、訪問者の体験や文化的価値の維持にも影響を与える重要な問題です。しかし、施設や設備の維持や更新には大きな費用が掛かります。多くの博物館には施設管理に使えるほどの十分な予算が存在しないため、運営者は博物館の業務効率化や収入源の見直しが必要です。
人手不足
博物館の予算不足は、人材確保の面においても影響しています。博物館の運営に、高度な知識や専門性を持った学芸員は欠かせません。しかし、予算不足により、多くの博物館が常勤の学芸員を採用できず、アルバイトや契約社員で人手を補うことを余儀なくされています。
日本文化の保存や啓蒙のためには、学芸員を雇用できる十分な予算の確保が必要です。
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収益増大のための秘訣
博物館における収益の増加方法を検討する際には、訪問者のニーズや関心を意識することが大切です。下記で具体的な取り組みを紹介します。
SNSの活用
SNSを活用することで、若年層を中心としたより多くの人に博物館の魅力を伝えられ、新規顧客を獲得できます。コンテンツ投稿の際は、関連するハッシュタグを上手く活用できるかがポイントです。
また、利用者やフォロワーから直接的なフィードバックを獲得することで、提供するサービスの向上へも繋げられます。これまで知りえなかった来館者における生の声が収集できます。
メンバーシップ制度
メンバーシップ制度は、顧客と継続的な関係を築くことで、収入の安定やブランドの強化を実現できる強力なツールです。適切な値段設定と特典付与により、博物館の運営をサポートする大きな助けとなります。
また、メンバーシップ制度を設定する際は、個人や家族、学生やシニアなど、いくつかのカテゴリーに分けることが重要です。それにより利用者は、博物館におけるコミュニティの一部として、より一層アイデンティティを持てます。
ショップやカフェの運営
博物館の施設内や関連施設にショップやカフェを設置することで、追加収入の源として機能します。これらの店舗の商品は単価が高いため、大幅な収益増加が可能です。また、グッズの購入や館内での飲食は、来館者の顧客体験を向上させ、博物館への愛着増幅にもつながります。
また、ショップやカフェの運営には、十分な人員や経験、品質の維持が必要です。しかし、これらを効果的に運営することで、収益の増加や博物館の魅力増大、訪問者の滞在時間の延長ができます。
オンラインストア
オンラインストアの開設により、地域や国境を超えた、全世界の人々への商品提供が実現します。また、実店舗の販売時間は開館時間に限定されますが、オンラインストアは24時間販売可能です。そのため、顧客獲得の機会を逃すことなく、より多くの人へ商品を買ってもらえます。
博物館のオンラインストアを成功させるためには、ユーザーのニーズに応える商品の提供と、スムーズなショッピング体験の提供が不可欠です。
コスト削減に向けた施策
博物館のコスト削減方法は、博物館のミッションや価値観を維持しつつ、適切なバランスを取ることが大切です。下記で具体的な方法を紹介します。
所蔵品の保管方法の見直し
所蔵品の適切な保管は博物館の主要な役割の一つですが、その運営には多大なコストがかかります。しかし、適切な手段を採用することで、所蔵品の保管品質を確保しつつ、コストを削減することが可能です。
その手段のひとつがデジタル管理の導入です。所蔵品の管理や配置の最適化を行うためのデジタルインベントリシステムを活用することで、物理的な移動や確認の頻度を減らせ、労働コストを削減できます。
省エネ設備の導入
博物館は所蔵品の保存や展示、そして訪問者の快適性を確保するために、照明や空調、湿度管理などの設備を日々稼働させています。これらの設備は、博物館の運営コストの大部分を占めることが多いです。そのため省エネ設備を導入することにより、コストを大幅に削減できます。
展示物や訪問者の動向に応じて光量や温度・湿度を自動調整するセンサー技術の導入が、おすすめです。
予約システムの導入
博物館の予約システムは、訪問者における利用状況や予約管理ができるシステムの一つです。博物館に予約システムを導入することで、コスト削減のみならず博物館自体の運営を円滑にし、マーケティング戦略にも効果的な影響を及ぼします。
人件費削減
スタッフが対応していた予約の受付業務は、予約システムがすべて引き受けます。そのため博物館の人員を縮小でき、人件費を削減することが可能です。
業務効率化
予約システムは予約受付だけでなく、顧客情報の管理やデータ分析、メールの送信なども自動で行います。人の手で業務を行っていた際の人為的ミスも発生しません。そのため、大幅に業務を効率化し、博物館の円滑な運営を実現します。
マーケティング活動の最適化
予約システムに蓄積された利用者の情報や行動データを基に、効果的なマーケティング活やプロモーションを計画できます。また、予約データを基に来館者数やピークタイムを予測でき、適切なスタッフの配置やリソースの利用も可能です。
予約者の増加
予約システムは、24時間365日いつでも対応でき、利用者獲得の機会を逃がしません。
また、一度予約システムを使って予約すれば詳細な個人データが記録されるため、利用者は次回から詳細な項目を入力する必要がありません。その上、電話よりもネットの方が予約する際のハードルは低いです。より手軽に予約できるようになることで、利用者が繰り返し来館する可能性が高まります。
まとめ
本記事では博物館の利益を増加させる方法を、収益増大とコスト削減の両面から解説しました。収益増大では、SNSの活用やメンバーシップ制度の導入、館内におけるショップやカフェの運営やオンラインストアの開設が有効です。また、コスト削減では所蔵品の管理のデジタル化、省エネ設備や予約システムの導入が効果的です。運営する博物館の問題点を見直し、利益増加を狙う際には、ぜひ本記事を参考にしてください。
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画像引用元:RESERVA公式ホームページ
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