博物館で優秀なスタッフを費用をかけずに採用する方法|ポイント、人材の特徴を解説

博物館で優秀なスタッフを費用をかけずに採用する方法|ポイント、人材の特徴を解説

博物館は資料収集や保存、調査研究、展示、教育普及など様々な活動を行う施設です。また、地域コミュニティの集まる場でもあり、様々なイベントやワークショップを通じて、住民間の交流を促進し、コミュニティの結束を強化しています。新しい展示やイベント、特別展を通じて、国内外問わず観光客を地域に引き寄せ、地域の経済復興や新たな雇用の創出にも貢献しています。

博物館運営を長期的に安定させ、効率化を図るには優秀な人材の採用が重要です。優秀な人材とは、博物館の専門知識や細やかな配慮など、高い知識やスキル、思考力を持ち合わせた人材を指します。優秀な人材が博物館に所属していると、その博物館のブランドや利用者満足度が上がり、訪問者数の増加につなげられます。

しかし、博物館運営には一定のコストがかかり、採用に莫大な予算を割くことは望ましくありません。費用をかけずに優秀なスタッフを採用するにはどうしたらいいのでしょうか。本記事では、費用をかけずに優秀な博物館のスタッフを採用するポイントやコツ、進め方について解説します。

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優秀な人材の特徴

博物館の運営において、スタッフの専門知識やコミュニケーション能力は不可欠な要素です。経営陣が適切な人材を見つけるうえで、優秀な人材の特性を理解する必要があります。以下に博物館における優秀なスタッフがどのような人物かを解説します。

十分なコミュニケーション能力

十分なコミュニケーション能力を持つスタッフは、訪問者と効果的にコミュニケーションを取ることができます。特に博物館内のツアーでは、展示物の詳細などを説明するうえで、コミュニケーション能力の高さが求められます。

訪問者の問い合わせや要望に対する迅速かつ適切な対応が、良好な関係の構築を促進し、訪問者満足度の向上につながります。特に博物館では、リピート利用や口コミによる新規訪問者の獲得が期待できます。受付スタッフも円滑なコミュニケーションや連携を取る必要があり、コミュニケーション能力の高さはスムーズな業務進行を助けます。

豊富な専門知識と経験

博物館の運営には、以下のような専門知識や経験が役立つことがあります。

学問的な知識
歴史学、考古学、民族学や自然科学など各博物館が取り扱っている展示物によって、必要となる学問的な知識は異なります。学問的な知識は、博物館の運営や展示の質を向上させるための基盤となります。

特に博物館のガイドツアーを行うスタッフは、訪問者からの質問への回答や円滑なコミュニケーションにもつなげられます。

接客サービスの経験
訪問者との対話や問題解決、サービスの提供など、一般的な接客サービスのスキルが必要となります。

ITの知識
博物館の運営では予約システムや会員管理システムなどのITシステムが利用されることが多いです。これらを操作、管理するための基本的なITの知識があると活かせます。

これらの知識や経験を持つ人材が管内にいると、訪問者に対するサービスの質を高めるうえに、施設の運営もスムーズに行うことができます。

さらに、スキルに加えて十分なコミュニケーション能力を持つスタッフは、自身のスキルや経験を他のスタッフと共有することができ、館内全体のスキルレベルの向上が見込めます。

高い語学力

文化庁が公開した「文化資源を活用した観光インバウンドのための環境整備」によると、2019年における訪⽇外客の29%が美術館や博物館を訪問しています。多くの訪⽇外客は、博物館で体験を通じて、日本の文化、歴史、自然に触れる機会を求めています。

スムーズな管内案内をするうえで、特に中国語、英語、韓国語など訪日観光客数の多い国における言語を話せるスタッフが必要になります。

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高い企画力

高い企画力のあるイベントを実施することは、博物館の集客を促進できます。例えば、SNSやローカルメディアを活用して、イベントの内容や魅力を効果的に伝えることです。人、時間、資金など最適に利用して目標達成を図るリソースの管理、多岐にわたる業務や効率的なタスクの管理能力などが必要になります。

細やかな配慮

細かい配慮を持つスタッフは、訪問者のニーズや興味、制約を察知し、それに応じたサービスやサポートを提供につなげられます。

例えば、障害を持つ訪問者や高齢者など、特定のニーズを持つ訪問者に対して、適切なサポートの提供が重要です。細かい配慮を持つスタッフは、多様な利用者に対して満足度を高められます。

採用するためのポイント

優秀なスタッフを採用するためには、5つの重要なポイントを押さえておく必要があります。

採用目的の明確化

採用目的を明確にすることで、適切な求人情報を作成できます。それに沿ったスキルや経験を持つ求職者を引き付ける内容を作成することで、優秀なスタッフを集められます。さらに、目的に基づいて具体的な評価基準や面接の質問を設定できるため、選考プロセスを効率的に行えます。

採用の目的が組織のビジョンや戦略と連携していると、長期的な成功に貢献する人材を採用でき、新人スタッフのトレーニングやマネージメントも円滑に進みます。

人材要件の見直し、具体化

求める人材要件を見直し、より内容を具体的にすると、要件に合うスキルと経験を持つ適切な人材を効率よく採用できます。

優秀な人材の特徴をすべて持っている人を採用することは非常に困難であり、求めるハードルが高すぎると応募すら来ないこともあります。博物館でいえば、学術的な知識や高いコミュニケーション能力など、求める条件の中で絶対に外せないポイントを絞り、他は未経験可などとすることで、適切な人材を集めやすくなり、候補者の間口も広がります。採用側の評価軸もぶれずに、候補者に対して公平かつ一貫した評価を行うことが可能になります。求職者が期待を持てるため、早期離職を防ぐことができます。

魅力的な求人票の作成

博物館の特徴や働く環境、提供する福利厚生などについて、具体的に伝わるような求人票を作成します。求人に入れる主な内容は以下の6つです。

仕事の詳細    明確な仕事内容は求職者に安心感を与え、期待と実際のギャップを避けられる。適切な情報量がないと、不信感につながる。
勤務条件勤務時間、勤務日数、勤務地、月給など、具体的な勤務条件を明記する。ライフスタイルと照らし合わせることができます。シフト制かどうかも記載が必要である。
報酬給与以外にも、職員割引、研修、昇給制度など、働くことで得られるメリットを強調することで求職者の関心を引き付けられる。
成長の機会アルバイト、未経験OKでも、将来的なスキルアップやキャリアアップの可能性を伝えることで求人の魅力を感じさせられる。
職場文化職場の価値観や雰囲気、方針を伝えることで、求職者が自分が合致するかどうかを判断できる。
応募方法応募の手順を具体的に説明し、かんたんであることを強調すること。応募プロセスが面倒だと、求職者を途中で脱落させることがある。

博物館で働くイメージをより明確にするため、求人でしっかりと特徴やメリットを訴求する必要があります。また、求人は分かりやすく、明瞭で、親しみやすい言葉で書くことが重要です。館内の適切なビジュアルや画像を使用すると、求人はさらに引き立つでしょう。

適切な報酬、労働条件、福利厚生を提供

競争力のある給与や福利厚生を提供し、店舗の強みをアピールできれば、優秀なスタッフを引きつけることが可能です。週○日勤務OK、子育て中の方多数活躍、社会保険完備など、心理的安全性のある職場であることをアピールするように検討しましょう。

2023年現在、東京労働局によると東京都の最低賃金は1,113円で、株式会社リクルート「TOWNWORK」によると、2022年8月、東京都のアルバイト・バイト・パートの平均時給は1,217円でした。

職種、地域ごとの平均時給も参考にしつつ、各種求人サイトで博物館の人員募集における状況をチェックし、納得のいく報酬を提示することが理想的です。

ブランドの強化、方向性やビジョンの共有

運営側の価値観、ビジョン、目標を明確に共有し、強いブランドイメージを構築します。それが自身の価値観やキャリアのゴールと一致する求職者を引き付けることで、への愛着にもつながります。

費用をかけない採用手法

博物館運営のスタッフを募集するには、採用サイトに求人広告を掲載するのが一般的です。一方で博物館の人材採用に予算が取れない場合もあり、費用をかけずに採用することが重要です。

そのうえで、以下のポイントを押さえて活動していくことが大切です。

公式Webサイト

公式Webサイトに採用情報のページを設けて、求人情報を掲載することでスタッフを集めることができます。求人情報は定期的に更新し、応募方法がかんたんであることが重要です。スタッフ採用のためだけでなく、集客にも効果を発揮するため、Webサイトがない、作成を検討していないという場合でも、可能な限り作成することがおすすめします。

スマートフォンの普及により、利用希望者のほとんどが、事前にインターネットで情報を調査してから博物館に訪れます。公式ウェブサイトでは、博物館の開館時間、入場料、アクセス方法、特別展やイベントの情報などが一元的に掲載できます。訪問者に役立つ情報を多角的に記載することが重要です。

公式Webサイトに求人を出していると、Google検索エンジンの機能の一つである「Googleしごと検索」に無料で情報を掲載してもらうチャンスが得られます。少しテクニックが必要ですが、検索エンジンで求人を検索している求職者を取り込むことが可能です。

SNS

Facebook、X(旧Twitter)、InstagramといったSNSを活用した、求人情報を投稿します。最近では、SNS経由で就職先が決定したという事例もあります。具体的には、投稿の最適なタイミングや、効果的なハッシュタグの活用方法を理解することが重要です。これにより、より多くの求職者に博物館の求人情報を届けることが可能です。

SNS採用には、博物館の魅力と求人情報を組み合わせて発信することがおすすめです。例えば、特別展示の裏側や、スタッフの休憩風景など、博物館の人や場の魅力を発信することで、求職者がその位置にいるイメージを植え付けることができます。

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従業員の紹介(リファラル採用)

既存の従業員がいる場合、友人や知人を紹介してもらう制度を設けます。紹介された人が採用された場合に、ボーナスや特別休暇など、何らかの報酬を提供すると紹介数が増加します。リファラル採用は、求職者の能力や性格をある程度認知したうえで雇用でき、新しいスタッフの品質を確保します。

地元のハローワークや就職センター

地元のハローワークや大学・専門学校の生協、就職センターなどと連携し、求人掲載してもらう方法もあります。民間の求人媒体は、有料での掲載が主ですが、これらは無料で求人をのせることが可能です。掲載後、すぐに応募がくる保障はないため、早急に採用したい場合には不向きですが、採用のきっかけを増やす手段の一つとなります。

オンラインとオフラインのネットワーキング

人材獲得のための展示会やイベントに参加したり、業界のオンラインコミュニティに参加したりすることで、優秀な候補者を見つける機会を増やすことができます。こうしたつながりで、優秀な人材を紹介してもらえる可能性が生まれます。

まとめ

今回は、博物館運営で費用をかけずに優秀なスタッフを採用する方法について解説しました。

博物館運営における成功の鍵は、優秀なスタッフの採用にあります。そのためには、博物館側が求める人材像や採用目的を明確にし、正しい基準で人材を評価・選択することが重要です。採用プロセスを計画的に進め、多角的な評価を行い、候補者の本質的な能力やポテンシャルを見抜くことが求められます。

また、求人作成時には、職場文化や勤務条件、職務内容などを具体的に記載して、働くメリットを明確に伝えることが重要です。オンラインとオフラインの双方を用いて、情報を発信することが求められます。こうしたアプローチによる、能力と適性を兼ね備えた優秀なスタッフを採用することは、長期的な成功の実現につながります。優秀なスタッフを確保し、快適な博物館運営を目指しましょう。

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画像引用元:RESERVA公式ホームページ

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