近年、地方での少子化と人口流出が進む中、多くの自治体が財政難を理由に公共サービス施設の統合や廃止を推進しています。一方、公立図書館の施設数は、全国的に増加傾向です。日本図書館協会の調査によると、全国の公立図書館は2023年時点で3,310施設と、2013年の3,248施設から10年間で62施設増加しました。この増加の要因として、公立図書館に求められる役割の多様化が挙げられます。現在の公立図書館は、書籍や資料の保管・提供に留まらず、地域住民の交流の場や集客施設としての役割も担っています。
図書館の集客を成功させることで、地域の活性化や経済の発展につなげられます。しかし、図書館を魅力的な集客施設として運営するには、効果的な施策の策定が不可欠です。
本記事では、多様化する国立図書館の詳細や集客力を向上させる施策、公立図書館向けの予約システムについて解説します。
多様化する公立図書館の形態
時代の流れに伴い、公立図書館の在り方は多様化しています。
従来の公立図書館の役割
従来より公立図書館は、地域住民に文学作品や資料を提供する場としての役割を担ってきました。
図書館法の第十七条では「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」と明記されています。また、ユネスコのIFLA-UNESCO公共図書館宣言 2022年でも同様に「公共図書館の建物への入場およびサービスは原則として無料とし,地方および国の行政機関が責任を持つものとする」と示されています。
こうした指標のもと、公立図書館は、市民に無料でサービスを提供することにより、教育機関としての役割を担ってきました。
集客施設として求められる公立図書館
近年における公立図書館は、教育機関としての役割に加えて、集客施設としての機能も求められています。
2003年度における企業やNPOなどの民間組織に公的施設の管理運営を委託する制度である指定管理者制度の施行により、公立図書館においても、民間組織の参入が進みました。それに伴い、現在の公立図書館は、多様なサービスが展開されており、集客を通じた地域活性化や経済効果の向上が期待されています。
図書館の集客におけるポイント
図書館の集客を成功させるためには、さまざまなポイントを考慮する必要があります。ここでは、来館者数増加に直結するポイントを3つ紹介します。
明確なコンセプト
明確なコンセプトを打ち出し、図書館が目指す方向性を示すことで、一貫した集客施策を策定できます。
コンセプトを打ち出す際に重要なのがターゲットの選定です。ターゲットを明らかにすることで、それに応じたコンセプトを打ち出せます。公立博物館のターゲティングでは、年齢や性別、興味対象などで絞るのが一般的です。
利便性の向上
公立図書館における利便性の向上は、利用者数を左右する非常に重要な要素です。物理的なアクセスの改善や情報提供の方法に関する見直しなど、多岐にわたる取り組みを行うことで、快適な来館体験の提供を目指せます。特に、高齢者や障がいのある来館者も楽しむことができるように、バリアフリー設計を整えることが大切です。
地域コミュニティとの連携
地元のコミュニティと密接な関係を築くことで、地域住民を中心とした来館者の獲得が見込めます。地元の学校や企業、他の文化施設とのパートナーシップを構築することで、相互に集客支援を行うことが可能です。例えば、図書館内にパートシップを締結した企業の商品や文化施設の展示品を設置することが効果的です。また、図書館をテーマにした地域のイベントや祭りの開催も、認知度向上に貢献します。
公立図書館の集客力を向上させる施策
ここでは、公立図書館における効果的な集客施策を紹介します。
市民の交流スペースの確保
市民の交流スペースの確保は、公立図書館の集客において欠かせない施策です。施設内に市民の交流スペースを設けることで、利用者が気軽に図書館を利用できる環境を整えられます。また、交流スペースを活用したさまざまなイベントを開催することにより、さらなる集客効果が期待できます。
講演会や読書会
交流スペースで作家による講演会を開催することで、図書館の利用習慣が少ない読書好きの地域住民を図書館に誘致できます。日常的に本を読むものの、図書館を頻繁に利用しない人は多いです。講演会を通じて図書館の魅力を効果的に伝えることで、図書館に通う習慣のない読書家をリピーターに変える可能性を高められます。
また、読書会を開催することで、図書館を特別な読書体験の場として位置付けられます。読書は基本的に個人的な活動ですが、その体験を他の利用者と共有する機会は貴重です。図書館をいかにして地域住民の交流の場とするかが、集客のカギとなります。
地域文化を活用したプログラム
地域の文化や歴史に焦点を当てたイベントや体験プログラムは、来館者にとって特別な魅力を持ちます。地域文化がテーマの特別展示や、伝統工芸品の作り方を学ぶワークショップなどを通じて、地域文化への理解を深める機会を提供可能です。こうした地域文化を活用したプログラムを実施することで、図書館は地域社会とのつながりを強化でき、市民の図書館への愛着を高められます。
SNSを用いた広報
図書館や蔵書の魅力をSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で積極的に発信することで、ユーザーの図書館への来館意欲を高められます。X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、YouTubeなどの主要なSNSのなかでは、特にXが図書館との親和性が高いです。
Xによる新規利用者の獲得
他のSNSと比較して、Xは図書館の新規利用者の獲得に特に効果的です。Xの搭載機能であるトレンド機能やリツイート機能により、ユーザーは自身が積極的に調べた情報でなくても、関連情報を目にする機会を増やせます。Xに公立図書館の公式アカウントを作り、情報を発信することで、読書好きや本にお金を掛けたくない人など潜在的な図書館の利用者にアプローチできます。
インフルエンサーの活用
特定の分野で影響力を持つインフルエンサーを活用し、図書館の魅力を紹介することで、ユーザーの来館意欲を高めることが可能です。読書好きの著名人や作家などとのコラボレーションを通じて、図書館の展示やイベント情報を多角的に紹介できます。
SEO対策
図書館の公式ウェブサイトのSEO(検索エンジン最適化)対策は、インターネット上での可視性を高め、より多くの来館者を集めるために不可欠です。適切なキーワードの選定と使用、高品質なコンテンツの提供により、検索結果の上位に表示できます。
キーワードの特定によるWebサイトの最適化
図書館の公式ウェブサイトを最適化するには、最も重要なキーワードを特定し、それをウェブサイト全体にわたって効果的に配置する必要があります。例えば、蔵書名や図書館の名前、本のジャンルに焦点を当てたキーワードは、来館者が比較的よく検索するフレーズです。また、ウェブサイトのローディング時間の短縮や、モバイルフレンドリーなデザインの実装など、ユーザー体験の向上もSEOパフォーマンスを高める上で重要となります。
ローカルSEOの強化
ローカルSEOは、地元の訪問者をターゲットにする図書館にとって非常に有効な手法です。Googleマイビジネスへの登録や、地元のイベント情報を提供するウェブサイトへの情報掲載は、図書館の地域コミュニティ内での認知度アップに貢献します。さらに、地元に関連したキーワードをウェブサイトの各部分で使用し、地域の人々が検索する可能性のある内容を提供することで、利用者数の増加に直結します。
デジタル技術の導入
図書館の集客において、デジタル技術の導入は非常に重要です。デジタル技術を活用して図書館の利便性を改善することで、利用者体験を向上できます。
仮想本棚機能
仮想本棚機能を導入することにより、利用者はオンライン上で本の背詳細画面の確認や予約が可能になります。この機能は貸し出し情報と連動しているため、利用者は、本が借りられる状態か一目で確認可能です。利用可能な場合は、予約をすることも、郵送で取り寄せることもできます。
予役システムの導入
図書館における予約システムの導入は、利用者の獲得に非常に有効な施策です。予約システムの導入により、利用者は事前にオンラインで入館チケットを発行でき、特定の展示やイベントへの予約が可能になります。
また、予約システムは、利用者の情報を自動で管理するため、図書館の業務効率化にも有用です。蓄積されたデータを分析することで、マーケティングの強化にもつなげられます。
公立図書館向けの予約システムとは
公立図書館向けの予約システムは、図書館の予約や利用者の管理を自動で行うシステムです。予約受付における業務の効率化はもちろん、集客に役立つ機能を数多く搭載しています。ここでは、予約管理システムの導入メリットと、図書館の運営に役立つ予約システムの機能について解説します。
予約システムの導入メリット
予約管理システムを導入することで、図書館の運営において大きな手助けとなります。以下は、そのなかでも特に効果的なメリットです。
・業務効率化
予約システムは予約受付や利用者情報を自動で管理します。人の手により紙やExcelで管理する必要がありません。書き間違いや聞き間違いなどの人為的ミスも発生しなくなり、正確で効率的な図書館の運営が実現します。
・費用削減
予約システムの自動管理機能は、費用の削減にも効果的です。予約や利用者の情報はデータ化されるため、大量の紙や管理するスタッフに費やしていた経費は低減されます。
・マーケティングの強化
予約管理システムを通じて集められる参加者のデータを分析し、ターゲット市場の動向や利用者需要を把握することができます。このデータを基に、効果的なマーケティング戦略を立案可能です。
・利用者体験の向上
予約の確認や変更をオンラインでかんたんに行えることで、参加者の利便性が向上します。また、待ち時間の短縮やスムーズな受付が実現し、利用者の満足度も高められます。
公立図書館に役立つ予約システムの機能
予約システムはさまざまな種類が存在しています。それぞれ特徴が異なるため、自身の公立図書館に合った予約管理システムを判別することが必要です。
オンラインカード決済機能
オンラインカード決済機能は、オンライン予約時にクレジットカードで決済できる機能です。オンラインカード決済機能を活用することで、利用者は事前に文献複写や現物貸借の料金を支払いできるため、予約当日にスタッフが要する業務の負担が軽減されます。
SNS公式アカウント機能
SNS公式アカウント機能を活用することで、予約サイト上に各種SNS公式アカウントを表示できます。リアルタイムで更新しているSNSアカウントを掲載することで、予約サイトを訪れた人へ最新の情報を伝えられます。
LINE連携機能
LINE連携機能とは、LINE公式アカウントと予約システムを連携させる機能です。連携することで、LINE公式アカウントを友だち登録している利用者が、自身のLINEアカウントを使っての予約や配信コンテンツの受け取れます。利用者がLINEアカウントで予約をする際における、連絡先の入力作業を一部省略できることも利便性の向上に効果的です。
まとめ
今回は、多様化する国立図書館の詳細や公立図書館の集客力を向上させる施策、公立図書館向けの予約システムについて解説しました。紹介した集客施策の中では、特に予約システムが有効であり、図書館の集客施設としての機能を増幅させます。
図書館の集客でお悩みの人は、ぜひ本記事を参考にしてください。
国立図書館の予約受付には、予約システム「RESERVA」がおすすめ!
画像引用元:RESERVA公式ホームページ
国立図書館の予約受付におすすめの機能が豊富な予約システムRESERVAを紹介します。「RESERVA(レゼルバ)」は導入数26万社を超え、国内シェアトップクラスの実績を誇るクラウド型予約管理システムです。RESERVAは、業界・業種問わず350種類以上の業態で利用されています。
パソコン・スマホ・タブレットに対応しており、最短3分で予約システムを作成できます。管理画面もシンプルでわかりやすいため、初めての予約システムに最適です。予約受付・利用者の管理をはじめとする多くの機能が無料から利用可能で、開業直後の忙しい時期でも使うことができます。
RESERVAに搭載された豊富な機能は、業務効率の改善や費用の削減だけでなく、国立図書館の集客にも大いに役立ちます。ぜひ利用を検討してみてください。